指導記録50

<11月21日(水)>50号到達

 

やっと50号到達した。昨日は、生徒に勉強させる、能動的に動かすために「怒りから罰」では
絶対に効果が上がらない。「目標とそこへ向かう強固な理由づけ」その部分を強固にするプロ
セスの大切さが、現在多くの現場で抜けている「盲点」を追求した。簡単に言えば、犬やねこじ
ゃあるまいし「勉強しなさい、さもないと」には限界点があるということだ。
今日は49号で前触れをしておいてたまには少しだけ自慢させていただきたい。


以前から狙っていたウルトラ記録の達成である。
それは、「上昇偏差値合計100ポイント超え」が達成された。
受験科目4教科であるが「偏差値合計100超え」は非常に難しい。


つまり、受験生ならわかると思うが例えば「3教科偏差値30上昇させて残り1科目も偏差値
10を同時に上げる」というのは至難の技だと思う。4教科とも各科目25上げることだって至
難の技だ。今までのウルトラ記録で「E判定から最短7ヶ月での東大合格」があるが、それよ
りもうれしいかも知れない。(なぜかTVにも出ていたし、女性自身という雑誌にも偏差値45
から東大合格というタイトルで記事となっていたので読んでいる方の中で記憶にある方もおら
れるかもしれない。)


彼女の場合は明るく「自分で伝説を創る」と公言していたから精神的な準備はできていた。
今回は違う。全く逆だ。精神的に病んでいた所からの開始だ。本当にがんばった彼に対し
て心から褒めてあげたい。


実は、その生徒は私が書いた「カウンセリング10の記事」のモデルである。
進学校で落ちこぼれて「反応ゼロ」の状態だった。実質的には1.5浪位だと思うが、数学
(スタート44から72.9で28.9ポイント上昇)物理(スタート32から67で35ポイント上昇)
化学(スタート40から66.5で26.5ポイント上昇)英語(スタート30から56.3で26.3ポイ
ント上昇)で合計偏差値116.7の上昇である。くれぐれも言っておきたいのが誰もがそうな
るとは限らない。


まだ、彼が受験前なのでこれ以上詳細は書かないが、phenix is back(不死鳥は蘇る)
達成されたことが何よりうれしい。
これでウルトラ記録を2つ達成できたが、人間には「潜在能力」があることは否定できない。
つまり、人間の能力というのは水の中に氷が浮かんでいるようなもので水中に隠れている
氷の部分が人間の潜在能力である。


それが引き出せる場合と引き出せない場合がある。
例えば、今年大リーグで活躍したレッドソックスの岡島投手なんかは、日本のコーチは引き出
せなかったが、アメリカのコーチは引き出せたという例だ。


日本の指導者は「自分の型」にはめることに細かいが、海外の有名なコーチは「まず、いい所
を伸ばす」ことを最初に考える。
そして「選手に迷いを与えないことばの力」に卓越しているのが特徴である。


しかし、全てがうまくいくとは限らない。博打のような所はある。例えば、「天才は努力を嫌う」と
いう場合もある。持っている才能は誰が見ても素晴しいのだが、地味な努力を嫌う。がんばれ
ば素晴しい結果を残せるのに努力をしようとしない。才能があるのでそこそこ行くのだが、努力
ができない例も多数ある。結局、努力家に最後は負ける。


しかし、よくぞこれだけ上がったものだと思う。
もう2度と「偏差値100超え」はできないかもしれないような気がする。
「全教科スーパー急上昇」というのは、よほどその時の人材に恵まれてないと絶対に無理だ。
1年間モチベーションを刷り込むだけでも大変だ。しかし、記録を達成すると「人間てわからん
もんだな」と思ってしまう。また、その子の持っている「運」も関係するような気がする。
ただ、「潜在能力の爆発の実例」は1度証明してみたかったというのはあった。


2度証明できたが、何十回も出している人がいるかも知れない。今回は英語の先生が
最も苦労したが、たしか試験前の10日前位に「もしかしたら?」とか言ったと思う。
前回の場合は「大金星の可能性有り!」と先生から携帯にメールが届いたので驚いたが
私自身は「たぶん、無理やろ」とか思っていた。(本当に申し訳ない)


今回の50号の記事が、進学校で落ちこぼれた全国の放心状態の生徒の心に火を灯すもので
あったらいいと思う。
「人はなりたい自分にしかなれない」と言われる。


「自分はここまでや」と思ったら心の中でブレーキとアクセルを同時に踏むことになりそのとうり
の「そこまでの自分」が出来上がることになる。
今回は、「頭の中で無意識にかけるブレーキ」をふっとばす事に全神経を集中した。
1年間徹底的に計算した「モチベーションアップ」の言葉を考えて浴びせ続けた。
いわゆる洗脳が成功した例かもしれない。
ただ、彼自身が真面目で素直だったから成功したというのも大きい

 

 

PS: 上記の精神的に病んでいたというのは、正確に言えば「目標を見失った状態」
   であり、初めて会った時は非常に「トゲがある印象」を感じた。一日中ゲーム
   をやっていたからか視力も相当悪かったようだ。最初は、あまりにも反応がない
   状態だったので、英語の先生がびっくりして走って来て報告しに来た位だった。


   ただ、たまに鋭い質問をすることがあった。数学より算数が好きで、英語が嫌い
   であった。数学が伸び、化学が伸び、物理が爆発した。記憶が定かなうちに追
   加記録しておきたい。


   彼に聞けば、「目標を無理やり持った」ことが爆発の源のようだ。本番では必ず
   英語でマイナス状態になるので他の3教科で「あり余る位取れ!」と常に言って
   いたと思う。やはり6年英語をさぼった「つけ」は相当なものだった。英語につい
   ては完全な拒絶状態だったと思う。教えても教えても「なだれ」のように抜ける。
   また、得意科目も深く考え過ぎて時間配分がうまくできない。


   他の3教科が急上昇したため、英語についても「やらなしゃーない」と納得したか
   らだったと思う。本当によくがんばったと思う。


   今だから明かせるが最も心配したのは、仮に2次まで行っても彼の学校の評定が
   悪すぎる。「この評定のマイナス点をどう挽回するのか?」が最大の心配だったと思う。
   おそらく今年2次に残っていた受験生の中でも最低ランクだっただろうと思う。


   最も恐れていたのは「無条件にはじかれるのではないか?」と心配していた。幸い
   欠席日数は少ない。遅刻も少ない。面接官は調査書は一定のポイントは見逃さない
   ものだ。


   「評定のマイナスをどう逆転するか?」そこの部分をどう演出するかがポイントだ。
   面接等でかなり細かい指示を出したと思う。性格が素直だったのでよくポイントは押
   さえたと思う。最初から素直ではなかったが、誰に言われることもなく毎週公園の掃
   除を一人でやる位まで精神的にも成長していた所はえらいと思う。

 

【2008夏、2009正月に会って感じたこと】
 

実家に帰って来ても必ず「差し入れ」を持って来る。義理堅い男だ。
「お前良かったな〜逃げ切れて」
と言うと、今でも受験関連のニュース等が耳に入ると緊張すると言う。今は体育会ク
ラブに入って別人のような精悍な顔をしていた。

「お前、来た時目つき悪かったもんな〜」と冷やかしたが、心の悩みや苦悩は顔に
出るもんだなと改めて思った。「死んでいた目」をしていた過去の姿は完全になくな
っていた。運も強い子かも知れないと思った。

 

彼には色紙を渡した。「自分に誇りを持て!偏差値100超えの男へ」と書いて
彼は写真で出されることも体験記を書くことも最初いやがっていた。 謙虚だか
らこそ拒絶していた。 また繊細でもあるから。

 

「あのな、お前が出ることによって進学校で落ちこぼれた人間に勇気を与えるこ
とになる。また眠れない位悩んでいる保護者の方にも希望を与えることになる。
これはお前だけしかできないことなんや!」と説得した。
(思い出しても恥ずかしい位熱く語ったと思う)


協力してくれた彼に感謝したい。


 

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