医学部受験の英語は合否を左右する重要科目です。配点が高く、基礎から応用まで幅広い力が求められます。本記事では英語の重要性と、基礎力の徹底から長文読解、英作文、共通テスト対策、二次試験・私大対策まで、段階的な勉強方法を解説しています。
医学部受験において英語は合否を分ける重要な科目です。共通テストから二次試験、私立大学入試まですべてで出題され、配点も高いため、英語で得点できるかどうかが合格のカギとなります。
本記事では、医学部受験で英語が重視される理由と効果的な学習法を解説します。基礎力の徹底から長文読解力の向上、英作文対策、共通テスト対策、二次試験・私大入試対策まで、段階的に学習を進める勉強法を紹介。一朝一夕では身につかない英語力を計画的に伸ばし、医学部合格に近づくためのポイントを徹底解説します。
医学部受験における英語対策の重要性
医学部を目指す方にとって、英語の対策は合否を分ける重要な要素です。英語は共通テストから二次試験、私立大学入試まで幅広く出題され、短期間での習得が難しい科目だからこそ、計画的な学習が必要になります。
共通テストでも二次試験・私大入試でも使う
医学部入試において、英語は非常に重要な位置を占めています。共通テスト、国公立大学の二次試験、私立大学の入試のすべてで必須科目となっているからです。
共通テストでは英語の配点比率が比較的低くても、二次試験では配点が増え、全体の3割前後を占めるといった大学も多くあります。国公立大学を受験する場合、共通テストの英語の得点は出願や合格判定に直接影響しますし、私立大学の共通テスト利用入試にも不可欠です。
また、医学部の数学や理科は難問が多く受験生の点差がつきにくい一方、英語は計画的な学習で得点を伸ばしやすい科目であり、得点差が付きやすい科目ともいえます。そのため、英語の得点が合格のカギになることも少なくありません。さらに、英検などの外部検定を活用できる大学も増えており、事前に英語の得点を確保できる可能性もあります。
このように、医学部を目指す方にとって英語対策は、受験全体の合否を左右する極めて重要な要素なのです。
英語力は一気に伸ばせない
英語は一夜漬けでは対応できない科目です。単語、文法、読解、リスニング、英作文など様々な能力を総合的に問われるため、基礎力の構築に相当な時間を要します。
特に医学部入試の英語は、長文読解や記述式問題が多く出題されます。正確に文章を理解する力や要点をつかむ能力、論理の流れを把握する力は、短期間の集中学習だけでは身につきません。これらの力は日々の地道な積み重ねによって徐々に形成されるものです。
また、速く正確に英文を読む力は、単語や文法の基礎がしっかりと定着した上で、多くの実践的な演習を通じて養われます。基礎が不十分なままでは、いくら応用問題に取り組んでも得点向上につながりにくいのが現実です。
医学部合格に必要な英語力の目安は偏差値65以上と非常に高く、他学部よりも入念な対策が求められます。こうした理由から、英語は計画的かつ継続的な学習が特に重要な科目だといえるでしょう。
医学部受験で英語が重要な5つの理由
医学部受験において英語の学力は、合格への重要な鍵となります。高配点の英語試験で差がつきやすく、医学の専門知識を学ぶ基礎となるだけでなく、将来の医師としての国際活動や最新研究の理解にも欠かせません。ここでは英語が医学部受験で重視される5つの理由を解説します。
英語の配点が高く、合否に直結するから
1つ目の理由は、英語の配点の高さです。多くの国公立大の医学部において、英語の配点は25~30%程度です。英語1科目だけで、全体の3分の1から4分の1を占めている大学も少なくありません。
横浜市立大学を例として説明します。
| 合計点 | 英語配点 | 英語比率 | |
| 共通テスト | 1000点 | 300点 | 30% |
| 二次試験 | 1400点 | 400点 | 約29% |
出典:横浜市立大学
このように、英語の配点はかなり高く、合否に直結する科目だということがわかります。
求められる英語力が高いから
2つ目の理由は、要求される英語力が高いからです。医学部受験においては、他の学部と比較して非常に高い英語力が求められています。その水準は一般に「偏差値65以上」が目安とされており、難関医学部を目指す場合には英検準1級(CEFR B2レベル)相当の英語力が基準となることが多いです。
実際に、広島大学などの国公立医学部では、英検準1級以上を取得していれば共通テスト英語の得点を満点扱いにする制度を導入しています。
出典:広島大学
また、埼玉医科大学の特別枠では英検1級が出願の必須条件となっています。
出典:埼玉医科大学
こうした傾向は私立医学部にも広がっており、英検準1級から2級レベルの資格を出願条件や加点対象とする大学が増えています。このように医学部受験では、外部検定の級やスコアを重視する大学が多く、他学部と比べても特に厳しい英語力基準が設けられているのが特徴です。
豊富な語彙が必要だから
医学部受験の英語においては、他学部と比較して特に豊富な語彙力が求められます。医学部入試の英語では、長文読解の文章量が多く、医療や生物学に関する内容が頻繁に出題されるためです。一般的な受験英語の単語だけでなく、医学・生物学系の特殊な用語や医療に関する背景知識も必要になってきます。
例えば、「infection(感染症)」や「hypertension(高血圧)」などの医療にかかわりが深い言葉が出題されることがあります。これらの知識がないと、長文の内容理解や問題への対応が難しくなってしまうのです。医学部入試対策の参考書や単語集でも「医療関連の語彙」や「医療系の文章に慣れる」ことの大切さが強調されており、過去問演習や医療英単語帳を使って語彙力を高めることが勧められています。
語彙力は英文読解や英作文、リスニングなど、すべての英語能力の基盤となるものです。語彙が不足していると、文章全体の理解ができず、得点に直結しません。個別試験では、医学部の英語は難しい言葉や専門的な用語が多く出題される傾向があり、語彙力の差がそのまま得点差につながりやすいのです。
このように、医学部受験の英語では、一般的な英単語に加えて医学・生物学系の語彙も必要とされるため、豊富な語彙力が不可欠であり、合否を左右する重要な要素となっています。
高い長文読解や和文翻訳の能力が要求されるから
医学部受験の英語では、特に高い長文読解力や和文翻訳力が求められます。医学部の英語試験には、文章量が多く内容も高度な長文読解問題が頻出し、医療・生物・科学分野を扱った論理的で専門性の高い英文を正確かつ素早く理解する能力が不可欠です。
筆記試験では、単なる単語や文法の知識だけでなく、複雑な英文を読み解く力や多角的な思考・表現力も評価されます。
また、国公立医学部や一部私立医学部では英文和訳問題が出題されることが多く、専門的な内容や抽象的な表現を適切に日本語に置き換える能力も重要視されています。
このように医学部受験では、他学部と比較しても特に高い水準の英語読解力と翻訳力が合格のために必須となっているのです。
大学入学後も英語力が必要だから
医学部受験で高い英語力が求められるのは、大学入学後も英語が必須となるためです。医学部の講義や教科書には英語のものが多く使用され、最新の医学知識や研究成果は英語で先に発表されるため、日本語訳のない教材や論文を読む機会が頻繁にあります。
在学中から英語の医学論文を読む力が必要となり、受験英語以上の専門的な読解力が求められます。また、自身が研究発表や論文を書く際にも、英語での文章作成や発表能力が重要です。学会発表、国際交流、海外留学など、英語で情報を発信する場面も増えています。
さらに、医療の国際化に伴い、外国人患者への対応や国際的な医療活動、キャリア形成においても英語力は欠かせません。このように医学部受験で培った英語力は、「入試のため」だけでなく、「医師として活躍するため」の重要なスキルとなっているのです。
英語学習の進め方
医学部受験の英語学習では、まず基礎をしっかり固め、長い文章を読む力を養うことが大切です。その上で英文を書く練習や全国共通の入試への対策を進め、最終的には国公立の二次試験や私立大学の入試に備えていきます。計画的に段階を踏んで学習することで合格への道が開けます。
基礎力の徹底
医学部受験の英語学習において、まず基礎力をしっかりと固めることが何よりも大切です。医学部の入試問題は難しく、長い文章を読む問題や英文を書く問題、聞き取り問題など様々な形式がありますが、これらすべての土台となるのが、単語や慣用表現、文法、文の組み立てに関する基本的な知識です。
例えば、「patient」が「忍耐強い」と「患者」の両方の意味を持つことを知らなければ、医療系の長文で意味を取り違えてしまいます。また、「as」が「~のように」だけでなく「~なので」という意味も持つことを理解していないと、因果関係を示す文の意味を正確に把握できません。
基礎が不十分なまま難しい問題に挑戦しても、英文を正確に理解したり答えを導き出したりする力は身につきません。単語集や文法書を使って基本事項をきちんと覚え、理解することから始めましょう。例えば、1日50単語を覚える目標を立て、週末に復習テストを行うといった具体的な計画が効果的です。
特に単語や文法は「知らなければ解けない」要素なので、繰り返し学習して確実に身につける必要があります。基礎力を徹底することが、医学部入試で高得点を取るための第一歩なのです。
長文読解力をつける
医学部受験の英語学習では、長い英文を読み解く力を身につけることが合否を分ける重要なポイントです。医学部の入試では、医療や生物、自然科学などの専門的な内容を含む長文問題が多く出題されます。これらの文章は量が多いだけでなく内容も難しいため、複雑な英文を正確に素早く理解する能力が必要不可欠です。
長文読解力を向上させるには、まず単語や熟語、文法といった基本をしっかり身につけ、合わせて英文の組み立てを理解する力を養うことが大切です。その上で、実際に多くの長文問題に取り組む練習が重要になります。
効果的な練習方法としては、志望校の過去問や市販の問題集を繰り返し解くこと、問題を先に読んで文章のどこに注目すべきかを意識する読み方や、意味のまとまりごとに区切って読む技術を身につけることが役立ちます。また、声に出して読んだり、細部まで丁寧に読んだりする練習も読解力向上に効果的です。
英作文対策を進める
医学部受験の英語学習では、英作文対策をしっかり進めることが非常に重要です。多くの国公立医学部や一部の私立医学部では、英語を日本語に訳す問題や自分の考えを英語で書く問題が出題され、その出来栄えが合否を大きく左右します。
英作文の対策を進めるには、まず志望大学の過去問を分析して、どのような形式の問題が出るのかを把握しましょう。次に、基本的な表現や定型文を覚え、繰り返し練習することが大切です。
例えば「In my opinion, preventive medicine is more important than treatment because…(私の意見では、治療よりも予防医学の方が重要です。なぜなら…)」といった表現を使いこなせるようにします。
練習した英作文は必ず誰かに添削してもらい、文法の間違いや不自然な表現を修正することも大切です。高校の英語教師や塾や予備校の講師と相談しながら指導を受け、学習を進めるとよいでしょう。
共通テスト対策も重要
医学部受験の英語学習では、大学入学共通テストの対策も非常に重要です。医学部入試では共通テストと大学独自の試験の両方で英語が課されるため、共通テストで安定して高い点数を取ることが合格への大きな鍵となります。
共通テストの英語は単語力や文章読解力をバランスよく問う問題構成で、聞き取り問題も含まれているため、幅広い英語の能力が必要です。特に国公立大学の医学部を目指す場合、共通テストの英語で8割以上の得点が求められることが多く、英語は全体の約3割を占める重要な科目となっています。
共通テストの英語は時間との勝負でもあり、素早く正確に問題を解く練習が欠かせません。例えば、毎週1回は本番と同じ時間設定で模擬テストを解く習慣をつけることが効果的です。
また、共通テストで身につけた基本的な単語力や読解力は、大学独自の試験で出される難しい長文問題や英作文にも役立ちます。共通テスト対策を通じて培った英語力は、医学部入試全体の英語力向上につながるのです。
二次試験対策・私大入試対策を進める
医学部受験の英語学習では、共通テスト対策に加えて二次試験や私立大学入試対策も重要です。これらの試験は共通テストと比べて難易度が高く、記述力や応用力が強く問われる点が大きく異なります。
共通テストが選択式で基本的な理解力を測るのに対し、二次試験や私大入試では長い英文の読解や日本語訳、英作文、要約問題など記述式の問題が中心となります。対策としては、志望大学の過去問を繰り返し解くことが効果的です。
また、医療や生命科学、社会問題などに関する英語記事や論文に日頃から触れておくことも大切です。「Nature」や「Scientific American」などの科学雑誌の記事を読む習慣をつけると、専門的な語彙や表現に慣れることができます。
二次試験・私大入試対策では、単に単語や文法を覚えるだけでなく、論理的思考力や表現力を磨くことが重要です。基礎をしっかり固めた上で、応用力を高める練習を計画的に進めていきましょう。
まとめ
今回は、医学部受験の英語について解説しました。医学部入試において英語は、共通テストから二次試験、私立大学入試まで幅広く出題される重要科目です。高い配点と求められる英語力の水準から、合否を左右する大きな要素となっています。
医学部受験の英語学習では、まず基礎力をしっかり固め、長文読解力を養い、英作文対策を進めることが大切です。同時に共通テスト対策も疎かにせず、最終的に二次試験や私大入試に向けた応用力を高めていきましょう。
英語力は一朝一夕には身につかないため、計画的かつ継続的な学習が合格への近道となります。将来医師として活躍するためにも、今から本格的な英語学習に取り組むことをお勧めします。
