医歯学部受験予備校指導記録70

<12月14日(金)>  ランナーズハイPART1


いよいよ70回だ。あと30回全力で駆け抜けよう。昨日、ある現役生が「ランナーズハイ」の
状態でしたよといった。つまり、簡単に言えば「アドレナリンを分泌して無限に集中できる」
状態のことを言ったのだと思う。「ランナーズハイ」と言うのは常にその状態を創り出せれば
良いが、私の意見では「長期間の訓練の中では、何回か信じられないハイパフォーマンス
の出来る状態が来ることであって自分のコントロールでいつでもどこでも産み出せるもの
ではない」という意見だ。


受験生であれば、本番の問題がどんどん解ける状態から自分を絶好調の状態になっていき、
そのまま全教科終了した状態ではないかと思う。これを常に出せれば神様だ。
前提として必要なのは、地味な訓練ではないかと思う。
また、精神的に覚悟を決めて追い込まれた状態も必要だと思う。


個人的な経験だが、私も空手(型ではなく、直接打撃制)の全日本の大会に出場が決定してその練習の過程でランナーズハイを何度か経験したことがある。
まず、大会に出るのに「この大会で事故ならびに怪我が発生しても当会館は一切責任を負いません」という誓約書にサインしなければならない。


先輩が何気なく「過去に6人死んでるよ」と言った時には父母の悲しむ顔がちらついたものだった。
しかし、当時はこの「恐怖の壁」を越えないと「男になれない」と信じきっていた単細胞だった。
その次、病院に行き「心臓の異常なしという診断書」をもらい提出しなければならない。
参加費がたしか15000円だったと思う。


「15000円で死ぬかもしれんのか?」と思うと経験したことのない異常な恐怖がその日から始まった。今考えるとむちゃくちゃな大会だ。


日本全国から集まった手でブロックや瓦を割ったり、バット2〜3本すねで楽に折るような
最強にロマンを感じている「人間離れ」した連中が集まるのである。普通の恐怖ではない。
第一、全く何の恨みもない人間と2分間全力で殴り合い、蹴り合わなければならない。
先輩からは、常に「相手、殺すつもりでいけ!でないとお前が殺されるぞ!!」と洗脳されていた。
引き分けだったら「もう1回」だ。


何かあった時のために大会ドクターが2〜3人準備されている。
自分の隣を担架に運ばれた選手が目に入るともう「ちびる」寸前だ。
あるいは選手がKOされて「ドクターお願いします!ドクターお願いします!」とアナウンスが聞こえると悪寒で口びるが震え始める。


大体ピクリとも動かないか、失神して痙攣を起こしているので見ないようにする。
見たら、終わりだ。見たら自分が次にそうなる。
逃げられればいいが、今度は先輩に殺されるかもしれない。


今までの人生で最大最高の恐怖をひとつ上げれば、この大会マットに上がる寸前だ。椅子が準備されてだんだん前にずれて行く。この1人ずつずれて前に行く瞬間は泣きそうになる位恐ろしかった。
まさに、死刑囚が死刑台に少しずつ近づけられる感覚だ。
なんというか「死」をじらされている感覚だ。


大会会場の応援垂れ幕がまたこれが強烈だ。
「骨は拾ってやる○○選手!」とか「後のことは任せろ○○選手!」
とか今思い出しても笑える垂れ幕が下がっていた。


名前が呼ばれてマットに走り上がる寸前は無心かも知れない。
スポットライトが意外に明るくて、熱くてマットが足が沈む位柔らかいなと感じた。
試合開始すると、全く「痛み」は感じない。終わった瞬間は滝のように汗が吹き出る。
しかし、翌日の朝が悲惨だ。のた打ち回る位痛い、立てないし、動けない。


つまり、究極の緊張を越えると「何か蜃気楼のようなものに包まれる」感じなのかも知れない。
何か「エネルギーのカプセルに入って究めて頭の中は冷静で楽しんでいる」ような....
こういうのが「ランナーズハイ」かも知れない。


寝たきりのおじいさんが火事になって起きてコンクリートの壁を乗り越えたという例もある。
また、大会前に3ヶ月間「カーボロイドトレーニング」という食事療法もやった。


つまり、ボクシングのボクサーや長距離ランナーが行うトレーニングで大会前までに序々にタンパク質の摂取量を増やしていくやり方だった。これも大変だった.
 

<続く>

 

 

 

 

 

 

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