指導記録98

<1月14日(月)>    社会的使命
大阪府の泉佐野市で「お産」の出産費用が話題になっている。市民は7万円、市外は22万円
だ。産科医は悲鳴を上げている。家が産科医の家の生徒なんかは、ほとんど「母子家庭」だ。
当直の回数なんかは「3倍に増えた」とか言っておられたが、「それでもまだ、ひどい所に比べ
ればましですよ」と言っておられた。少子化なのにこの状況では、日本の「国力」は間違いなく
将来、減退するだろう。救急病院も全国で235病院が看板おろしている。

 

大阪の一地域の
富田林(野球のPL学園がある所)では病院に搬送拒否されたのが去年だけで123件もある。
国の医療費削減で、はっきり言えば、「採算取れないし、訴えられてまでやる奴おらんし、
すまんが家で死んでくれ」というようなものである。


以前の記事にも書いたと思うが、「損得勘定」からすれば同じ1点10円の診療報酬であれば、
今の若者が困難な選択をするとは思いにくい。「僻地」だってできれば避けたいと受験生の
時点でみんな考えている。ただ、受験の志望動機や面接では「きれいごと」を言う受験生は
多いかもしれない。三重県だったか、「産科医」の報酬で「大リーガーなみの報酬」を準備した
そうだが、その代わり相当な激務の条件で休みなどほとんどなかったと思う。


企業の中で最大の激務であるのは、全盛期の「佐川急便」だろう。親友が司法試験の勉強
で数百万借金して、一気に返済するために佐川に行ったことがある。そいつは柔道のオリン
ピック強化選手だったが、まず琵琶湖の合宿でものすごい合宿をやり(うさぎ飛びをやったり
、のどから血が出る位声を出さされたりすごいらしい。最後は涙を流してみんなで抱き合う位
厳しいらしい。)、当時は佐川急便はあまりにも激務であまりにも事故が多かったので、今は
労働条件は改善されていると思うが当時の佐川はとにかくすごかったらしい。
ドライバーもほとんどが何らかの理由で「借金返済」に迫られている人たちばかりだそうだ。


驚いたのは喫茶店で話をしていても話の途中で親友がすぐに寝てしまうのだ。話ながら寝て
しまうのだから、見ていて気の毒だったほどである。
もう1度言うが、そいつは、オリンピック強化選手である。


体重が86キロあったのがひと月で70キロまで落ちていた。当時の佐川急便は、荷物を配送
する時にも常に全力で走らなければならなかった。


記憶が定かではないが、制限時間内に処理していかなければ、どんどん荷物が増えていく
ようなシステムだったような気もする。だから駐車違反も当たり前だったと思う。


居酒屋ワタミの社長も創業の資金を創るために佐川で創ったと本に書いてある。本の中でも
「信号と信号の変わる瞬間まで寝ていた」と書いてあった。本の中で「1ヶ月で辞めるかどうか
根性を確認するために先輩からたくさんの荷物を投げつけられる。」これを親友に確認したら
「俺もやられたよ」と言っていた。当時の佐川急便は、「借金を返済するための這い上がるパワ
ー」を利用していた会社だったと聞いていた。


上記の例で言いたいことは、仕事が激務であればあるほど当然事故が起こる。
医療の場合は「命」にかかわる。

だから、事故を起こして訴えられるよりは受け入れない方が賢明かも知れない。
とにかく産科、小児科、救急はピンチである。開業をされている父兄でも救急は50代までが限
界だろう。それで、もし親父が過労で死んでしまったら、えらいことになる。
第一残された家族がとんでもないパニックになる。


普通の人間でさえ、急死したら契約解除だとか、名義変更だとかしていたら完全に終了
するまで1年半位かかるのだ。第一聞こうと思っても本人がいないのだから。
どこに何を契約していて、取引先がどこで、銀行にどれ位まだ借金があるのかとか全くわからない。


開業の方は、「信用できる身内で固めているケース」が多いが、重要な情報は
自分しか知らない場合が多い。その町で1件しかなかったら翌日の朝から来る予定の
「じいちゃん、ばあちゃん連中」だって集まる所が翌日からなくなる。
ましてや、自分しか知らない「機密情報」を持ったまま、「完全なる司令塔」が翌日から
いなくなったら恐ろしいことになるのは目に見えている。


まず、従業員の給料(看護士、看護婦)とか患者さんとか患者の家族を今後どうするのか?
とか更に老健までやっていたらどうするのか?
大体、嫁さんも子供も何の情報も知らない場合が多い。
これは経営体として非常に危険だ。
親父こけたらどこも終わるが、「患者と従業員どうするんや?」ということだ。


お母さんが経理でもやっていたら支払い先位はわかる。長男も受験生だったらはっきり言えば
何の役にも立たない。ただおろおろするだけだ。それ位恐ろしいパニックになる。
受験生によく言うことばがある。「親父にもしものことがあった場合をよく考えとけ!」と
「信じられない位のパニックになるぞ!」と
だから「早く助けたれ」と
その詞をとてつもないプレッシャーに感じる子もいるから、言っても受け入れられそうな強そうな奴だけに使用する限定の「言葉の武器」ではあるが


ただし、起こった時に「心の準備できてないからパニックになる」ことだけは事実だ。
現にうちの生徒の家庭でも1件起こっているのだから
「代わりがいないということはものすごくもろい」ということにつながる。

よく先生が急病になって受験指導ができなくなった。
あるいは急に後釜としてきた先生が前の先生と比較されて「大ひんしゅく」を買った。
ひどい場合は、「あの後釜のおかげで人生狂わされた」とか言われる。

代わりがいないということは「もろさ」につながる。