医系小論文講座 基礎編 Lesson1 小論文で試される適正
@ 適正
ここでいう適正とは医師になるにあたっての適正のことです。適正とひとくちにいっても、医師に要求されるものはさまざまです。判断力、分析力、向上心、遵法精神、人権意識など。これらをひとつひとつ追究することも大切ですが、ここでは、これら様々な医師に必要な要素をいかに小論文に表出していくかを示します。そこで、次の二つのことを意識してください。一つは「問題意識を持つ」ということです。これは、今の社会のなかで起こっている問題を深刻に受け止めるということです。そして、もう一つは、その問題にたいして、「克服の意志を持つ」ということです。つまり、問題を改善しようとする意志を示すということなのです。
A 小論文を書くにあたって大切なこと
@にしめした二つのことを意識しながら、次に、小論文の書き方について考えます。小論文を書くにあたって大切なことは、まず、基本に忠実に書くということです。それでは基本とは何なのかというと、ここでも二つのことを覚えてください。一つは「起承転結の結構を整える」こと、もう一つは「減点要素の少ない答案を作る」ことです。前者については次項で詳しく示すとして、ここでは後者について、どのような記述が減点要素となるのか、主だったものを羅列してみましょう。
Lesson2 小論文の発想法ここでは「小論文の発想法」について学びますが、発想法を考えるにあたって、小論文入試で出題されるテーマについて整理しておきましょう。小論文入試で出題されるテーマは多岐にわたっています。ですが、概して言うならば、小論文で問われるテーマは社会的マイナス事項が圧倒的に多いのです。そのマイナス事項は、さしあたり、以下に示す三つのパターンに分別できるでしょう。
(1)マイナス用語パターン 「医療ミス」「環境破壊」
(2)功罪パターン 「先端医療」「科学技術の進歩」
(3)理想‐現実パターン 「医療のあり方」「豊かさ」
(1)はテーマとして指示される言葉自体が社会におけるマイナスな現状を体現しているものです。(2)は一見すると、肯定的積極的用語ですが、「功罪パターン」という括りが示すように、背後にマイナス要素が隠れています。(3)も同様、マイナスな事態を示す言葉ではありませんが視点を変えると、用語が示す理想と乖離したマイナスの現実が現れてきます。
Lesson3 理論展開の仕方小論文の出題形式は次の三つのパターンに分けることができます。
テーマ(課題)型 〜について「医療ミスについて」
課題文型
資料・データ型(融合型)
小論文の出題パターンに即した基本的論展開は以下の通りです。
起 テーマ型→テーマをめぐる現状説明
課題文型→課題文の要旨をまとめる
資料・データ型→資料・データの客観的読解
承 譲歩文
※譲歩とは、自分の意見を一旦引っ込めて、他の意見を受け容れること。
反対意見 現実容認
転 問題点の指摘 問題点+理由づけ
結 具体策(解決策)
医系小論文 基礎編課題 課題1
「日本語の乱れ」について(400字)
さあ、書いて見よう!
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<START>
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起 |
「日本語の乱れ」と考えられうる具体例をあげて現状説明をします |
承 |
〈転〉で「日本語の乱れ」を正す必要性を主張することを見据えて、ここでは一旦、上に示した具体例などを(時代の流れの)必然として受けとめます |
転 |
「日本語の乱れ」を正す必要性をその理由をつけて主張します。 |
結 |
どうすれば「日本語の乱れ」を正すことができるかの方策を提示します。 |
↓
<FINISH>